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アリス「今日はサルトルについて考えるわよ。」
テレス「名前すら聞いたことないな。」
アリス「う~ん、まぁそうかもね。でも彼の言った『人間は自由の刑に処せられている』っていう言葉は聞いたことがあるんじゃない??」
テレス「あ、それはあるよ。意味は分からないけど…」
アリス「そうよねぇ…。ならまずサルトルの主張から見ていくことにしましょう。」
テレス「お願いします。」
アリス「サルトルはモノと人間の違いを考え『実存は本質に先立つ』っていうことを言ったの。
テレス「なんかそれも聞いたことあるような…」
アリス「たとえばモノであるペーパーナイフ。これは紙を切るために作られたものよね??『その性質をもつもの』を作ろうとして実際に『ペーパーナイフ』ができるわけ。だからモノは『本質が実存に先立つ』存在なの。」
テレス「それで??」
アリス「じゃあ人間はどう??どんな本質があるか、分からないまま生まれてくるでしょ??そして成長していく過程で『自分はこうありたい』っていう本質が決まってくるの。だからモノと違って人間は『実在が本質に先立つ』の。」
テレス「なるほど。でも最初の『自由の刑』とは関係ない気がするんだけど…」
アリス「いいえ、ここからその話題に入っていくわよ。人間はモノと違って後から本質を決めるわけ。だから、これから何になるかは自由よね??」
テレス「まぁそうだね。」
アリス「だけど、何が正しい選択かってわかる??人間の本質で絶対に正しい何かってあるのかしら??」
テレス「まぁ…それこそ哲学的な問いだね。わからないね。」
アリス「そうよね。だから正しいかどうか分からないものを、自分一人で何の助けもなく、何のよりどころもなく決めなければならないの。しかも、その結果の全責任も自分で負わなければならないの。」
テレス「こういう状況を『人間は自由の刑に処せられている』って言ったのか。」
アリス「そうね。自由に生きさせられることを強制させられているのよね。何かの刑罰みたいに。」
テレス「そっか…」
アリス「ついでだからサルトルについてもう一つ見ていくわよ。」
テレス「わかった。」
アリス「人間は自由の刑に処せられていて、何が正しいか全然分からない。って言ったけど、だからこそ、自分の世界に閉じこもらないで広く社会と関わろうって言ったの。このことを『アンガージュマン』と呼ぶの。」
テレス「どうせ『自由の刑』を受けているのだから、逆に思いっきりやってみようってことか。」
アリス「まぁそういうことね。」
テレス「ふ~ん…てかさぁ、『自由の刑』って『夏休みの自由研究』と似てるよね。」
アリス「なぜ??」
テレス「だって何が正しいか分からないのに『何をするかはあなたの自由です』って言われるでしょう??それに取り組んだことが評価されなくても責任は自分にあるし。」
アリス「そうね。いい例えかもしれないわ。ところであなた、夏休みも終盤だけど自由研究は済んだの??」
テレス「何を選んでも自由なので、ここは『何もやらない』という選択を…」
アリス「自由の刑に処せられなさい!!」
参考文献
史上最強の哲学入門 SUN-MAGAZINE MOOK
「ソフィーの世界」哲学入門 NHK出版
まんがで学ぶ哲学入門 宝島社
萌える☆哲学入門 大和書房
倫理 東京書籍
新倫理資料 実教出版
サルトルについて
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