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ニーチェについて

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アリス「ねぇニーチェって知ってる??」
テレス「たしか高校の『倫理』って科目で習ったような…」
アリス「そう、その『ニーチェ』よ。偉大なる哲学者ね。彼の言葉で知っているものってある??」
テレス「う~ん…正直、哲学とか全然知らないからな。」
アリス「『神は死んだ』って言葉は聞きおぼえない??」
テレス「あぁ!!聞いたことある。その言葉『ニーチェ』が言ったんだ。」
アリス「『2001年宇宙の旅』のテーマ曲も聞いたことあるんじゃないかしら??」
テレス「『2001年宇宙の旅』って映画だよね。なかなか印象深い曲だよね。」
アリス「その曲は『ツァラトゥストラはかく語りき』っていうタイトルなんだけど、もともと『ツァラトゥストラはかく語りき』っていうのは『ニーチェ』が書いた本のタイトルなの。その本の中で主人公『ツァラトゥストラ』が『神は死んだ』と発言しているのね。」
テレス「『神は死んだ』ってそこから来てたんだね。」
アリス「でも、この言葉ちょっと衝撃的じゃないかしら。」
テレス「まぁそうだけど…いまいちピンとこないな。」
アリス「なら『ニーチェ』が生きていた時代について考えましょう。『ニーチェ』は、だいたい19世紀後半の人物よ。この時代ってどんな時代なのかな??」
テレス「う~ん…」
アリス「18世紀後半に起こった世界史上の有名な出来事って何??」
テレス「18世紀後半…あ、『産業革命』!!」
アリス「そうね。『産業革命』が起こり、いろいろなものが豊かになっていった時代なのね。さらに『フランス革命』など、ヨーロッパでは革命ラッシュの時代といえるわね。」
テレス「なるほど。」
アリス「その中で人々の意識は劇的に変化していくの。そして、それと同時に神の権威が下がっていくのよ。」
テレス「なるほど、おなかいっぱい食べられるし、病気になっても薬で治るし…神に頼らなくなったから、『神は死んだ』のか。」
アリス「まぁそうね。しかし、それでもなお、人々はキリスト教にすがろうとするわ。そこで、『ニーチェ』は『神』とは何かを説明するの。」
テレス「そういえば『神』って何だろう??」
アリス「『ニーチェ』によると、『神』とは弱者の『ルサンチマン』である。としました。」
テレス「『ルサンチマン』ってなんか、かっこいい言葉だね。」
アリス「なに男心くすぐられてんのよ!!『ルサンチマン』とは『嫉妬』とかそういう意味ね。」
テレス「結局どういう意味なの??」
アリス「そもそも、キリスト教の教えってどういうものかしら??」
テレス「たとえば、人間は平等とか、同情こそよいこと…とかかな??」
アリス「まぁそうね。でも、これって人間本来の生き方とは違うものなんじゃないかしら。」
テレス「人間本来の生き方って??」
アリス「一言で言うならば、力強く生きることね。でもキリスト教(ユダヤ教も)それを否定しているわ。」
テレス「弱くてもいい。そんなあなたが好きだから。」
アリス「なに詩的なこと言ってんの??まぁそうだけど。古代では力強く生きることこそ正義だったのに、現代ではそれを抑圧しようとする。『ニーチェ』にとって、これは人間の本性に反する反自然的な教えであると考えたのね。」
テレス「ふ~ん。」
アリス「だから、弱くてもいいっていうのは、結局のところ弱者の『ルサンチマン』(嫉妬)でしかないってことなのよ。強い人なら、ちゃんと戦って困難
にも打ち勝つことができるしね。」
テレス「そういうことだったのか。」
アリス「信仰はただの『ルサンチマン』。そして『神は死んだ』」
テレス「キリスト教って唯一神でしょう??その神が死んだら、どうやって生きていけばいいの??」
アリス「『ニーチェ』は、そこのところもちゃんと考えているの。『超人』を目指せと説いたわ。」
テレス「『超人』…なんかすごそうだね。」
アリス「『ニーチェ』によると、神が死んでいるこの世界は善も悪もなく、ただただ無意味なことが永遠と繰り返される『永劫(えいごう)回帰(かいき)』の世界なの。しかし、そんな世界でも力強い意志を持って、強くなることを目指す人を『超人』と呼ぶの。」
テレス「絶対的な価値基準が無くなっても、こうした意志を持った『超人』ならこの世界を生き抜くことが可能だと思ったんだね。」
アリス「そうね。だから『ニーチェ』はキリスト教の信仰を捨てて『超人』を目指すように説いたのね。」
テレス「へぇ~」
アリス「まぁ残念なことに『ニーチェ』が生きている間はほとんど知られることはなかったそうよ。20世紀に入ってようやく注目を浴びるようになったんだとか。」
テレス「まぁキリスト教徒がいっぱいいる中で反キリスト思考だと聞く人はいないだろうね。」
アリス「また、彼を知る上で欠かせないのが『ニヒリズム』ね。」
テレス「何それ??」
アリス「絶対的な価値を否定することね。『ニーチェ』は神が死んで絶対的なことが無くなるんだから、そこでクヨクヨするんじゃなくて(消極的ニヒリズム)、そういう状況でも運命を受け入れて、力強く生きようと説いたの(積極的ニヒリズム)」
テレス「なるほどね。」
アリス「どう??これが『ニーチェ』よ。」
テレス「結局のところ、スーパーマンになればいいんだよね??」
アリス「超人とスーパーマンは全然違うわよ!!今まで何聞いてたのよ!!」

参考文献
史上最強の哲学入門 SUN MAGAZINE MOOK
倫理 東京書籍
新倫理資料 実教出版
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