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風刺画で見る近現代史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「歴史の教科書によく載っている風刺画ですね。」

 

B「これってどういうことなの??」

 

A「当時は帝国主義の真っただ中。その中で特に目立っていたのがイギリスでした。そのイギリスがアフリカを手中に収めようとしている画です。」

 

B「アフリカをまたにかけているわけね。」

 

A「まぁそういうことです。ちなみに画の人物は『セシル・ローズ』という人でアフリカの植民地計画を進めた人です。」

 

B「ちなみに手に持っている線はなんなの??」

 

A「あれは鉄道用の電線です。エジプトのカイロから南アフリカのケープタウンまで鉄道を通すという計画の表れでもあるのです。ただし実際にカイロからケープタウンまで鉄道は通らなかったようですが。」

 

B「この一枚でいろいろな情報が読み取れるんだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「続いてはこちらの風刺画。何を表しているのでしょう??」

 

B「これも教科書によくあるような…忘れたけど。」

 

A「幕末の日本はアメリカなど諸外国から不平等条約を押し付けられます。そして明治に入り不平等条約の改正が課題になります。しかし条約改正に向けて欧米に行った岩倉使節団ですが、『日本は文明的でない』などを理由に条約改正には成功しませんでした。」

 

B「日本は野蛮な国に映っていたわけだね。」

 

A「そこで日本が文明国であることを示すために『欧化政策』を推し進めた結果、外交官や国賓をもてなすために『鹿鳴館』(ろくめいかん)が建てられました。しかし、欧州式のマナーやエチケットなどが分からなかったので、諸外国から見ればそれでもまだ野蛮に映ったようで、鏡の中にサルとして描かれています。」

 

B「このころは日本もまだまだ遅れた国だったんだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「お次はこちら。」

 

B「ピエロがいる!!」

 

A「ちなみにそのピエロはこの風刺画を描いた『ビゴー』本人だといわれています。自由民権運動が活発になり始めると、明治政府は言論統制を始めます。この画は都合の悪い記事を書かないよう新聞記者の口をふさいでいるのです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「これは『ノルマントン号事件』の風刺画ですね。」

 

B「これも見たことあるかな。たしか日本人だけ助けなかったやつだよね。」

 

A「そうですね。載っていたイギリス人やドイツ人は助けたのですが日本人は全員溺死しました。しかし、この船長は大した罰も受けなかったのです。」

 

B「なんで??」

 

A「領事裁判権という不平等条約があったからです。この事件を契機に国内の世論が高まり、日清戦争の直前にイギリスとの間で領事裁判権が撤廃されることになりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「これは日清戦争の風刺画ですね。」

 

B「日本と清が朝鮮という魚を釣ろうとしていて、ロシアがそれを横取りしようってやつだよね??」

 

A「そうですね。ここで朝鮮なのですが、他の国はきちんと『人』として描かれているのに、朝鮮だけは『魚』として描かれています。これは当時まだ朝鮮という国はそこまで存在感のある国ではなかったということです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「これは日清戦争後の国際情勢の風刺ですね。」

 

B「左端からイギリス、ドイツ、ロシア、フランス、日本かな??後ろであわてているのが清だね。」

 

A「列強が清というパイを切り取りしていくことが描かれています。」

 

B「清のことは気にせず、いかに自分がいいところを取れるかだけに神経を注いでるね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「そんな中現れたのがアメリカです。」

 

B「何の風刺だろう…」

 

A「日清戦争の結果、列強が清を切り取りしていましたが、それに乗り遅れたのがアメリカでした。そこで、アメリカは『清との貿易を独占するのはやめて平等にしようよ!!』といいます。これが『門戸開放』なわけですが、要するに、遅れてきて自分の取り分がなくなったので仕切り直しを要求しているのです。」

 

B「それでも結局清は蚊帳の外なのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「次もアメリカです。『棍棒外交』の風刺ですね。」

 

B「穏やかじゃなさそうだね。」

 

A「『でっかい棍棒を手に持ってれば、穏やかな口調でも言い分は通る』という西アフリカのことわざが元みたいです。そのことわざの通りにアメリカはカリブ海の国々を従わせていくのです。ちなみに風刺画で棍棒を持って戦艦を引き連れているのは当時の大統領の『セオドア・ルーズベルト』です。」

 

B「やり方が露骨だな。」

 

A「帝国主義とはそんなものです。とはいえこの外交の結果、アメリカは国際舞台に立ち政治的発言力が増していくことにもなるのですが。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「『火中の栗』と題された有名な風刺画です。」

 

B「そのままの意味は、『自分の利益にもならないのに、そそのかされて危険をおかしてやること』だね。」

 

A「ここではロシアが『極東の利権』という栗を焼いているのですが、イギリスやアメリカもそれが欲しい。そこで日本をけしかけ『あの栗うまいからとってこい』と言っているのです。」

 

B「日本はイギリスやアメリカに利用されているのね。」

 

A「とはいえ実際には日本は極東を絶対に抑えないといけない場所だったので一人では勝てないけどイギリスとアメリカが協力してくれていると言えなくもないでしょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「当時のヨーロッパの地図と東半球の地図です。」

 

B「やっぱりロシアの存在感はすごいね。下の地図の右下でアメリカが虎視眈眈と狙っている感じがいいね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「これは第一次世界大戦前の風刺画です。」

 

B「バルカン半島の問題が爆発しそうだからヨーロッパ列強がふたをしているところかな??」

 

A「宗教や民族、歴史など様々なことが絡み合って複雑になっていました。このことを『ヨーロッパの火薬庫』というのです。そして『サラエボ事件』をきっかけに爆発することになるのです。ちなみにバルカン半島は今でも紛争が絶えていません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「これは『成金』(なりきん)の風刺画ですね。」

 

B「お金を燃やして松明の代わりにしているんだね。なんて罰当たりな…」

 

A「第一次世界大戦で日本は好景気になりました。そこでお金持ちになった人を『成金』というのですが、その『成金』が暗くて靴が分からない女性に対してお金を燃やして『どうだ明るくなったろう』と言っているのですね。ちなみに『成金』は将棋の言葉で『歩』が相手の陣地に入った時に『金』に代わることです。一般人が好景気になって事業に成功してお金持ちになったことを揶揄して言っています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A「今度は第二次世界大戦前ですね。」

 

B「これは『ヒトラー』と『スターリン』かな??気持ち悪いな。」

 

A「共産党が嫌

 

A「歴史の教科書によく載っている風刺画ですね。」

 

B「これってどういうことなの??」

 

A「当時は帝国主義の真っただ中。その中で特に目立っていたのがイギリスでした。そのイギリスがアフリカを手中に収めようとしている画です。」

 

B「アフリカをまたにかけているわけね。」

 

A「まぁそういうことです。ちなみに画の人物は『セシル・ローズ』という人でアフリカの植民地計画を進めた人です。」

 

B「ちなみに手に持っている線はなんなの??」

 

A「あれは鉄道用の電線です。エジプトのカイロから南アフリカのケープタウンまで鉄道を通すという計画の表れでもあるのです。ただし実際にカイロからケープタウンまで鉄道は通らなかったようですが。」

 

B「この一枚でいろいろな情報が読み取れるんだね。」

A「続いてはこちらの風刺画。何を表しているのでしょう??」

 

B「これも教科書によくあるような…忘れたけど。」

 

A「幕末の日本はアメリカなど諸外国から不平等条約を押し付けられます。そして明治に入り不平等条約の改正が課題になります。しかし条約改正に向けて欧米に行った岩倉使節団ですが、『日本は文明的でない』などを理由に条約改正には成功しませんでした。」

 

B「日本は野蛮な国に映っていたわけだね。」

 

A「そこで日本が文明国であることを示すために『欧化政策』を推し進めた結果、外交官や国賓をもてなすために『鹿鳴館』(ろくめいかん)が建てられました。しかし、欧州式のマナーやエチケットなどが分からなかったので、諸外国から見ればそれでもまだ野蛮に映ったようで、鏡の中にサルとして描かれています。」

 

B「このころは日本もまだまだ遅れた国だったんだね。」

A「お次はこちら。」

 

B「ピエロがいる!!」

 

A「ちなみにそのピエロはこの風刺画を描いた『ビゴー』本人だといわれています。自由民権運動が活発になり始めると、明治政府は言論統制を始めます。この画は都合の悪い記事を書かないよう新聞記者の口をふさいでいるのです。」

A「これは『ノルマントン号事件』の風刺画ですね。」

 

B「これも見たことあるかな。たしか日本人だけ助けなかったやつだよね。」

 

A「そうですね。載っていたイギリス人やドイツ人は助けたのですが日本人は全員溺死しました。しかし、この船長は大した罰も受けなかったのです。」

 

B「なんで??」

 

A「領事裁判権という不平等条約があったからです。この事件を契機に国内の世論が高まり、日清戦争の直前にイギリスとの間で領事裁判権が撤廃されることになりました。」

 

A「これは日清戦争の風刺画ですね。」

 

B「日本と清が朝鮮という魚を釣ろうとしていて、ロシアがそれを横取りしようってやつだよね??」

 

A「そうですね。ここで朝鮮なのですが、他の国はきちんと『人』として描かれているのに、朝鮮だけは『魚』として描かれています。これは当時まだ朝鮮という国はそこまで存在感のある国ではなかったということです。」

A「これは日清戦争後の国際情勢の風刺ですね。」

 

B「左端からイギリス、ドイツ、ロシア、フランス、日本かな??後ろであわてているのが清だね。」

 

A「列強が清というパイを切り取りしていくことが描かれています。」

 

B「清のことは気にせず、いかに自分がいいところを取れるかだけに神経を注いでるね。」

A「そんな中現れたのがアメリカです。」

 

B「何の風刺だろう…」

 

A「日清戦争の結果、列強が清を切り取りしていましたが、それに乗り遅れたのがアメリカでした。そこで、アメリカは『清との貿易を独占するのはやめて平等にしようよ!!』といいます。これが『門戸開放』なわけですが、要するに、遅れてきて自分の取り分がなくなったので仕切り直しを要求しているのです。」

 

B「それでも結局清は蚊帳の外なのね。」

A「次もアメリカです。『棍棒外交』の風刺ですね。」

 

B「穏やかじゃなさそうだね。」

 

A「『でっかい棍棒を手に持ってれば、穏やかな口調でも言い分は通る』という西アフリカのことわざが元みたいです。そのことわざの通りにアメリカはカリブ海の国々を従わせていくのです。ちなみに風刺画で棍棒を持って戦艦を引き連れているのは当時の大統領の『セオドア・ルーズベルト』です。」

 

B「やり方が露骨だな。」

 

A「帝国主義とはそんなものです。とはいえこの外交の結果、アメリカは国際舞台に立ち政治的発言力が増していくことにもなるのですが。」

A「『火中の栗』と題された有名な風刺画です。」

 

B「そのままの意味は、『自分の利益にもならないのに、そそのかされて危険をおかしてやること』だね。」

 

A「ここではロシアが『極東の利権』という栗を焼いているのですが、イギリスやアメリカもそれが欲しい。そこで日本をけしかけ『あの栗うまいからとってこい』と言っているのです。」

 

B「日本はイギリスやアメリカに利用されているのね。」

 

A「とはいえ実際には日本は極東を絶対に抑えないといけない場所だったので一人では勝てないけどイギリスとアメリカが協力してくれていると言えなくもないでしょう。」

A「当時のヨーロッパの地図と東半球の地図です。」

 

B「やっぱりロシアの存在感はすごいね。下の地図の右下でアメリカが虎視眈眈と狙っている感じがいいね。」

A「これは第一次世界大戦前の風刺画です。」

 

B「バルカン半島の問題が爆発しそうだからヨーロッパ列強がふたをしているところかな??」

 

A「宗教や民族、歴史など様々なことが絡み合って複雑になっていました。このことを『ヨーロッパの火薬庫』というのです。そして『サラエボ事件』をきっかけに爆発することになるのです。ちなみにバルカン半島は今でも紛争が絶えていません。」

A「これは『成金』(なりきん)の風刺画ですね。」

 

B「お金を燃やして松明の代わりにしているんだね。なんて罰当たりな…」

 

A「第一次世界大戦で日本は好景気になりました。そこでお金持ちになった人を『成金』というのですが、その『成金』が暗くて靴が分からない女性に対してお金を燃やして『どうだ明るくなったろう』と言っているのですね。ちなみに『成金』は将棋の言葉で『歩』が相手の陣地に入った時に『金』に代わることです。一般人が好景気になって事業に成功してお金持ちになったことを揶揄して言っています。」

A「今度は第二次世界大戦前ですね。」

 

B「これは『ヒトラー』と『スターリン』かな??気持ち悪いな。」

 

A「共産党が嫌いだった『ヒトラー』がソ連と手を結んだ『不独ソ不可侵条約』の締結を表しています。こうしてドイツは着々と戦争の準備を進めていきました。」

A「これは冷戦の時代の風刺画です。」

 

B「箱の中から怪物が出てきそうだね。」

A「『キューバ危機』で『核戦争』が起こるかもしれないと危惧した風刺画です。左から『ケネディ』と『フルシチョフ』です。彼らは怪物がでないように話し合いをしています。ちなみにソ連がキューバのミサイルを撤去させたことによって『キューバ危機』は去ることになりました。」

 

B「なるほど。」

 

A「これで一応終わりということになります。」

 

B「一枚の画から読み取れる情報っていうのは結構あるんだね。」

 

A「風刺画を見る機会が合ったら考えてみてみましょう。きっと新しい世界が開けてきますよ。」

風刺画で見る近現代史

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